2015年3月25日
石田です。アクアリウム室の水槽にサメがやって来ました。
サメと言うと凶暴で危険なホホジロザメの印象が強いため、恐い感じがしますが、学校のサメはおとなしい種類です。
な〜んだぁと、興醒めされたかも知れませんが、でも、サメはやはりサメで、いろいろとすごいのですよ。
サメの先祖はおよそ4億年前に出現していて、恐竜の時代より遥か昔から出現し、現在まで生き残っているのですよ。
これだけ長い時代を現存できているには、それなりの理由があり、私達には無い種々の能力を持っているからなのですね。
今日は、その能力の中のひとつを紹介します。
次の写真は、サメの頭部の写真ですが、よく見てください。
この写真では、わかりづらいのですが、顔の表皮に小さな孔が多く開いています。この孔は
ロレンチニ瓶(びん)と呼ばれる器官で、微弱な電気を感知する役割をしていますので、電気受容器とも言われています。
私達人間を初めとしたすべての生物は、生きているときは、体の各細胞は数mV(ミリボルトすなわち1/1000ボルト)の微弱な電気を持っていて、その電気の力で生命活動を行っています。つまり、すべての生物は、微弱な電気を体に持っています。
そこで、サメはその生物の微弱な電気をロレンチニ瓶を使って感知できるのです。これが何に役に立つかと言うと、例えば、サメの餌となる魚が泳いでいる時、サメが接近してきたので、海底の砂の中に潜って隠れたとしましょう。魚の姿は砂の中ですので、サメには見えませんよね。
しかし、隠れている魚の体から微弱な電気が水中に漏れ出していて、サメはその漏れ出している電気をロレンチニ瓶を使って感知し、砂の中に隠れている魚を見つけて、その魚を捕食してしまうのです。
すごいワザだと思いませんか? もし、人間がロレンチニ瓶を持っていたら子供の遊びの「かくれんぼ」や忍者にとって隠れるのが大変になりますよね。
また、森の中で、クマに出くわしたときに、「死んだふり」したら助かるかも知れないとよく言われますが、サメの場合は、「死んだふり」をしても、まったく役に立たないです。なぜならば、体から出ている電気を感知して、生きていることがサメには、バレてしまうからです。
サメは、どんな餌でも貪欲に食べてしまうように思われていますが、実際には、サメはなんでも食べてしまうのではなく、生きている餌(すなわち電気を持っている)を食べ、死んだ餌(電気が消失している)は、よほど空腹でない限り食べないのです。
上の写真のサメは、シュモクザメという種類のサメです。眼が頭から横へ大きく突出していて、とても不思議な頭の形をしていますよね。
なぜ、こんな変な頭をしているのか、わかりますか?
答えは、この両眼が突出した部分や口の周辺にはロレンチニ瓶が非常に多く分布しているのです。
シュモクザメは、海底の砂の中に隠れている餌生物を探すときに、この突出部分や口の周辺にある大量にあるロレンチニ瓶を使って、かなり微弱な電気でも見つけ出す高感度センサーなのです。そのために、両眼を横に突出させ、ロレンチニ瓶を配置する面積を広くしているのです。
最後のすごワザの紹介です。
話は少しややこししくなるので、ごく簡単に説明しますと、物理学で習ったことがあるかと思いますが、「電界」・「磁気」・「力」の三つの関係を示す『フレミングの右手の法則』という法則を聞いたことありませんか? 『左手の法則』というのもあったのですが、法則の名前だけでも覚えていませんでしょうか?
ここまで述べましたように、サメはロレンチニ瓶で自分の周囲にできる電気の場「電界」を知ることができます。自分が泳いで前進すると「力」ができます。地球には「地場」があります。泳いで行って場所が変わると地球磁場が変化します。「電界」と「磁気」と「力」それぞれ密接に関係していて、どれかひとつが変化すると他のものが影響を受けます。
すなわち、サメが泳いで行って、移動し場所が変わると、「地球地場」が変化します。それに対応してサメの周囲にできている「電界」が影響を受けます。その受けた影響をロレンチニ瓶で感知します。
訳のわからない話ですね。要するに、サメが泳いで移動した場所が、ロレンチニ瓶でわかると言うことです。
あたかもカーナビのように、ロレンチニ瓶がナビゲーションの役割をしていると言うことでした。
サメの能力のひとつを紹介しましたが、まだまだ、他にも不思議な能力をいっぱい持っているのですよ。