2012年2月4日
石田です
支援クラスとナチュラル・ライフクラスの卒業研究にて、昨年からグッピーの品種改良にチャレンジしてきました。
方法は、異なる品種のグッピーを交配させるもので、昔から行われている方法なのですが、なかなか根気が必要で大変な作業です。でも、学生達がとても頑張ってくれまして下の写真のグッピーができました。学生のみなさんお疲れ様でした。
ところで、最近の遺伝子操作の技術の進歩はすごくて、今まででは考えられないような品種改良が行なわれています。研究例をいくつか紹介しますと、
(2007年 ロイター Pichi Chuangより)
上の写真は、発光するクラゲのもつ発光遺伝子を取り出し、メダカにその遺伝子を導入した「光るメダカ」です。
(神奈川県水産技術センター内水面試験場より)
生物は、普通、父親からの遺伝子と母親からの遺伝子を1組ずつもらって、2組の遺伝子をもつ2倍体ですが、それを操作して、なんと遺伝子を3組もつ3倍体のアユやニジマスなどが作られています(上の写真の大きなアユ)。
この3倍体の魚は、体がとても大きくなります。養殖において大きく成長すれば、出荷時に魚肉が多く取れますので、とても有用です。
ブタの世界では、ほうれん草の遺伝子をブタの遺伝子に組み込み、植物性の脂肪をもつヘルシーなブタ肉ができる「ほうれん草ブタ」が近畿大学で研究されています。
植物と動物を合体させることができるとは、すごい技術です。ちなみに、ブタの耳が葉っぱにになるわけではありませんよ。
最後に、世界3大珍味のひとつのキャビアを知っていますか? キャビアはチョウザメという魚の卵です。
もちろん、卵はメスのチョウザメからしか採れません。この魚は、外見からはオスとメスの区別が難しく、しかも成長が遅くて成熟するまでに15年以上かかります。
養殖するときの大きな問題は、15年間一生懸命育て、いよいよキャビアを作るため解剖してみて、それがオスだったら、15年間の労力や餌・薬・光熱費などの費用がムダになり、経営上大きな損失になりますよね。
そこで、遺伝子操作して全部メスにしてしまう雌性発生という方法があります。人工授精のときに精子に紫外線を照射して精子の中のDNAを破壊してから、卵と受精させると、当然オスの遺伝子がないのですから、受精卵はすべてメスの遺伝子だけ、すなわち、全部メスになって産まれてきます。
そうすれば、メスだけ養殖でき、キャビアがいっぱいできることになります。魚の養殖の世界では、オスは不要なのです。
これは、考えてみると怖いことですよね! もしかしたら、将来、人間の世界でも男は不要ということになりかねないですよ。 現在でも、男の立場が弱くなっているのに、この先どうなるのでしょうか?