2011年8月6日
石田です。
今日の主役は、この生物です。
中央にいるエビのことではないですよ。左端の土管の横にいる謎の生物です。後ろ姿ですが、よくわからないですね?
正面から見ると、このようになります。
体は5cmくらいで小さい割には、巨大なハサミを持っている、ちょっと変わったカニです。名前はソデカラッパというカラッパ科のカニです。
カラッパ?とは名前も変わってますね。カラッパは学名をそのまま呼称しています。元々の「カラッパ」の意味は、「ヤシの実」のことです。ヤシの実のようなずんぐりした姿から、英名でも「ココナッツクラブ」とか「ボックスクラブ」と呼ばれています。ちなみに、クラブはカニのことです。
ドイツ語の名前では、いつも大きなハサミで顔を隠していることから「恥ずかしがり屋のカニ」という意味の名前が付いています。恥ずかしいのかどうかはわかりませんが、水槽の中でも、いつも砂の中に潜っていることが多くて、なかなか姿を見ることができません。
水槽を見に来たとき、カラッパをもし見つけることができたら、かなり運が良いです。その日は良いことがあるかもね?
でも本当は、大きなハサミは、恥ずかしくて顔を隠しているのではなく、弱点である腹部を外敵から防御するために使っています。また、背中の大きな甲羅も防御に役立っています。
写真は、近縁種のカニの腹部から見たものですが、胴体よりも甲羅は、かなり大きくて、防御のしくみが、よくわかると思います。
このカニは、もう一つすごいワザを持っているのです。右側のハサミのツメの部分が曲がった特徴的な形をしてます。餌としている巻貝を食べるとき、この変んな突起を使って、缶切りで缶詰の蓋を開けるように硬い貝殻を破壊するのです。つまり缶切りを武器としているカニなんです。すごいですよね。
矢印のところが缶切り型のツメです。
見学に来られるときには、お土産に缶詰をひとつ持ってきてもらうと、カラッパ(飼育係りの学生も)が喜びますよ!