2011年12月7日
石田です
OCAのアクアリウム室で、この夏から飼育しているゴシキエビが成長して、少し立派になりました。
このエビは、イセエビの仲間で、大きくなると35 cmにもなるそうです。
世界のエビの中で最大のものは、アメリカン・ロブスターという種類で、なんと120 cmにもなります。人の大きさと比較すると、こうなります。
カニでは、さらに大きなものがいて駿河湾に生息しているタカアシガニです。サイズは3 mです。
左図のウミサソリは、太古に絶滅しましたが、こんなのが昔いたとは、すごいですよね!
ところで、エビの繁殖方法を知っていますか?
雄エビは、雌エビと出会ったときに、精子の入った袋(精包)を雌に渡します。雌の腹部にはポケットがあり、その中に精包を、しばらく、しまっておきます(精子は休眠状態です)。数週間から数ヶ月後に、雌は卵を産卵します。そのときに、雄から預かっていた精包の袋を雌が破り中の精子を水中に放出し、自分が産んだ卵と受精させます。
日本人には、几帳面で何事にも丁寧に行う人が多いです。南アメリカの人は、失礼を許して頂きたいのですが、ラテン的というか細かいことを気にしない人が多いような気がします。
エビの世界もそんな感じで、日本の雄エビは、雌が卵を産むまでの数ヶ月間の間に雌のポケットの中に預けた精包を途中で落とされないように、雄エビは精包を受け渡すときにポケットの口の部分に丁寧なことに、ちゃんと蓋をしてあげるのです。
ところが、南米の雄エビは、面倒くさいことはせずに、精包を近くの雌に向かって手あたりしだい投げつけ雌の体に付着させます。また、投げる相手もよく見ていなくて、雌エビでなくても、何に対して投げつけるので、近くの魚の体に付着していることもあります。
南アメリカで仕事していた時に、あまりにも楽天的な出来事を多く見て、いろいろ唖然としたことが多々あったのですが、エビまで、お前までもかよと驚きました。
いろいろあり過ぎて忘れてしまったことが多いのですが、今でも覚えている出来事をひとつ紹介します。
タイの洪水のように、南米のある町でも大雨のため湖が溢れ出して町が浸水していました。湖の水を排水するため近くを流れる川まで、人工の水路を作り、湖の増水した水を川へ捨てようとする計画でした。
私達が湖の魚を調査するため、その町に行った時は、ほぼその水路ができて上がっていて、川まで残り僅かで、最後の土砂をダイナマイトで爆破したら川と水路が貫通するということで、町の人が集まり、記念すべき貫通式が行なわれていました。偶然に来た私達も式に招待されました。
いよいよ町長が最後のダイナマイトの起爆ボタンを押して完成です。
で、ボタンを押したところ爆音と土煙の後に、予想外のことが。なんと川の水が湖に向かって流れ出したのです。当然、町はさらに浸水ですよ。
川の水位と湖の水位とどちらが低いのか、水路を作る前に誰も測量していなかったとは!
こういうとき、現地の人達は、よく「Oh pobre !」と言います。直訳すると「悲惨」とか「哀れ」という意味ですが、「あ~あっ!」というニュアンスでしょうか。
最近、日本が行なっている事も、よく考慮せず、思い付きだけでやって失敗していることが多く、日本も南米とよく似てきたと感じているのは私だけなのでしょうか? 日本人も頻繁に「Oh poble !」と言うようにならないとよいのですが!