2011年5月27日
石田です。
普通の人は、これを聞いただけでは、何か解らないですよね。日本語なのか?何か外来語なのか?さえも解らないと思います。しかし、「板鮮腹」と書き、立派な日本の言葉なのです。意味は「板のように平たい体形で、色鮮やかな腹部をもつ魚」と言う魚の名前でした。
この魚は、名前が珍しいだけでなく、生態も変わっているし、生息数も極めて少なく絶滅が危惧されていて、天然記念物に指定されている大変珍しい魚なのです。
その貴重な魚が、なんと、大阪の淀川に僅かに生き残っています。しかも、大阪の都心の梅田から5 kmぐらいの近距離の所です。
5月21日に水族館・アクアリスト専攻の学生達と調査実習を行い、イタセンパラの稚魚を発見し、生き残っていることを確認してきました。
この魚の繁殖方法が、すごくて賢いですよ。10〜11月頃にイシガイという貝の体の中にある鰓の上に卵を産みつけます。卵は貝の中で孵化し、そのまま冬を越して、5月頃にイシガイから稚魚が孵出してきます。
卵や稚魚は貝の中ですから他の魚に食べられることがなく、安全な場所で過ごし、しかも、貝は呼吸のため常に新鮮な水取り込んでいるので、鰓の上の稚魚も新鮮な水が流れてくる所にいます。
こんな賢い繁殖方法を考えたイタセンパラですが、思わぬ落とし穴がありました。それは、人間にイシガイの生息場所を破壊され、イシガイが減少してしまったことです。イシガイがいなくなれば、イタセンパラは繁殖できなくなり、生息数が激減し絶滅危惧種になってしまいました。
イタセンパラにとっては、人間の活動は想定外の災害でした。